UV硬化装置の選び方

 


UV硬化装置は以下の条件に従って選択します。



(1)UV硬化樹脂/塗料側が要求する「UV硬化・UV照射の条件」

<UV樹脂の硬化に必要な、紫外線の波長>
主に使われるUVランプは、高圧水銀ランプ:365nmまたはメタルハライドランプ:200~400nm です。
この2 種類のランプの、どちらが適しているか、そして 「どれだけの量の光を与えれば硬化するか」
に関してはUV樹脂/塗料の説明書に記載されていることもありますが、一般的に以下のように行います。


<UV硬化に使うランプの種類>

紫外線の中でUV樹脂の硬化に有効な波長域は365nm,または200~400nmで、
UVインキの硬化に有効な波長域は、320~400nmの長波長域とされています。

これは長波長の方が透過性に有利であることと、UVインキの場合は使用される顔料が
365nm近くに最大透過率を示すものが多いことによります。 また樹脂やインキの色によって
硬化速度は異なり、透明、紅、黄、藍、墨の順に遅くなります。
白も塗り拡げる場合は硬化時間がかかります。

ここでUV樹脂やインキ量とUV光の照射時間のバランスに注意しないと硬化不良を起こします。
透明のUV樹脂やUV塗料で塗膜厚が薄い場合は、表面硬化に優れた高圧水銀ランプで問題ありませんが、
UVインキでは、UV光のインキ皮膜内部への浸透を保持し、インキ表面と同様、内部への硬化を
同時に進める条件を設定することが肝要です。また同一皮膜厚でも、着色剤の濃度が高すぎると
硬化不良を生ずるため、希釈等で濃度調節し、光の内部透過を確保することがポイントになります。
特に白ベース及び墨ベースの調色の場合、光の透過が激滅するため、濃度調節は必須条件となります。
塗膜厚が厚い場合は、長波長の発光量が多いメタル・ハライド・ランプが内部硬化性の点で有利です。
また紫外線は色によって吸収波長が違いますので、透明に見えるUV樹脂でも若干の色が付いているだけで
吸収波長が365nmよりずれている場合があり、表面が未硬化を起こす原因のトップになっています。
このような場合には200~450nmまで連続して波長が出ているメタルハライドランプを使用します。


(2)ワークおよび作業者が必要とする条件


A:「ワークのサイズと、UV照射するサイズ(幅または面積)」
B:「照射時間(=一日にUV硬化させる数量」
C:「ワークの、熱に対する強さ(強い or 弱い)」
D:「安全性(密閉空間での照射:バッチ式など)」
E:「作業性(卓上型・バッチ式・ハンディ・コンベア搬送用など)」



UV硬化装置に内蔵される、ランプの長さ(=ランプのワット数*)・光の強さ(UV強度)・
反射ミラーの形状を、上記条件A,B,Cから決めます。

*一般的なUVランプの出力は 「ランプの長さ1cmあたりのワット数xランプの長さ」 で決まっています。
例えば標準的な高圧水銀UVランプは、ランプ1cmあたりの出力が80Wで、
1kWランプ:80Wx12cm=1000W
2kWランプ:80Wx25cm=2000W です。

UV硬化は「UV光の強さx照射時間(秒)」で行われるため、
・どれくらいの照射幅、面積に
・どれくらいの強さのUV光を照射するか
を決めるためには、ランプのサイズ、ワット数、ミラー形状を、まず選ぶことになります。
光の均整度を必要とする場合は、ランプを長くしたり、照射距離を離すことになるケースが多く、
距離を離した場合にも十分必要な光量を得られる、高出力のUV硬化装置を選びます。


(3) UV硬化装置のパワーの選択

*紫外線量(UV露光量、単位はmJ/c㎡)=UV照度(mW/c㎡)×照射時間(sec)

硬化に必要なUV露光量はUV塗料・樹脂ごとに決まっていますので、
UV照度が分かれば、上記の式から必要な照射時間が計算で得られます。
この照射時間+ワークの入れ替え作業時間から、時間当たりの処理個数が計算できます。
ランプ距離を離すと広い面積を照射できますが、光が弱まるため照射時間が長くなります。



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