紫外線殺菌・オゾン殺菌・殺菌装置のマリオネットワーク

光洗浄の技術と効果について


1.清浄度を向上させる


1-1. 湿式洗浄は「大きな汚れ」、光洗浄は「ナノの汚れ」に有効。

洗浄法には多くの方法があります。(表1)

湿式洗浄は「大きな汚れ」を取ることには優れていますが、汚れを取り切れる限界があり、
高度な洗浄の観点では、溶剤そのものが表面に残り、それが汚染源として害を及ぼす場合もあります。
 
逆に大きな汚れは苦手だが、とことんきれいに洗える技術が光洗浄技術(以下、UVオゾン洗浄)です。

ナノメーターオーダーの有機性汚れは目に見えませんが、しっかりと表面に膜(軟接着層)を作ります。
この膜がたとえば印刷の際にはパターンの鮮明度を悪くし、ピンホールなどの障害を起こします。
このような「微細な汚れ」への対策として、UVオゾン洗浄が役に立ちます。

UVオゾン洗浄で除去出来る汚れは、表2に示す有機性化合物、即ち油性の汚れです。

表1.有機性汚染の洗浄法一例
ドライ洗浄 UVオゾン洗浄
プラズマ洗浄
イオン洗浄
スパッター洗浄
加熱洗浄
ドライアイス噴射洗浄
ウェット洗浄 水洗
アルカリ洗浄・酸洗浄
洗剤洗浄
溶剤洗浄
液体噴射洗浄



表2.一般的有機性汚れ
人体の皮脂、化粧品の油脂、樹脂添加剤、離形剤、フラックス、ポンプオイル
モーターオイル、ワックス、切削油、潤滑油、溶剤若しくはその蒸気、硫黄化合物、
その他



 

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1-2. 清浄度評価と、水滴の接触角

物質には固有の表面張力があり、その影響により固有の接触角があります。(詳細説明は後述の1−4で)
ガラスなど無機物の接触角は、有機化合物の接触角より小さいので、ガラス表面に有機性汚染があると
接触角は大きくなります。

表3に、色々な洗浄法によるの洗浄能力を、水滴の接触角で評価したものを示します。
炭化水素系溶剤は油脂系汚染の溶解力が強いことで知られていますが、表3で示すように
炭化水素系溶剤での洗浄では、無洗浄のものより接触角が高くなっています。
これは溶剤が残っているためです。
湿式洗浄ではよほど注意深く洗浄しても、ガラス面の接触角は10度程度までが限界です。

表3.水滴の接触角による洗浄技術能力比較
処理条件 接触角(度)
無処理のガラス板 26
洗剤⇒市水⇒炭化水素系溶剤 39
洗剤⇒市水⇒純水 17
洗剤⇒市水⇒IPA 13
オゾン水 <10
洗剤⇒市水⇒プラズマ 5
洗剤⇒市水⇒UVオゾン 4



 

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1-3. 有機性汚染層(軟接着層)の大きさ

ガラスの清浄度試験の一つに、スチームテストがあります。
加熱した水(沸騰はさせない)の上にガラス板をかざし、その面に水蒸気が凝結する時と蒸発する時の
薄膜を観察する方法です。表4に石英ガラスを用いたときの結果を示します。

表4によると接触角が10度以上の時は、表面は一層以上の単分子層有機膜で覆われ、膜厚は数nmになります。
湿式洗浄だけでは印刷時に塗料が難接着層に妨げられ基板に密着せず(または、部分的にはじかれ)
色々な障害が起こります。

UVオゾン洗浄は、表3にあったように接触角4度以下(=表4から膜厚1nm以下)の高度な洗浄力を得られます。
ガラス表面を覆う汚染膜を単分子層以下(<1nm)になるまで洗浄できると、ガラスや基板の表面を部分的
もしくは完全に露出させることができます。(図1参照)

 

表4.石英ガラス板の清浄度評価、スチームテスト・接触角・汚染膜の分子層
蒸気テストの結果 蒸気膜の外観 接触角(度) 有機汚染膜
(単分子層数)
膜 厚
(nm)
Excellent Fringes 凝結・蒸発時共に虹のような均質な干渉膜 4 <0.1 <1
Good Fringes 凝結時は均一な干渉膜、蒸発時は不均一な膜 4 <0.1 <1
Poor Fringes 凝結時に不均一な膜 4 ≦0.1 ≦1
Orange Peel 干渉縞無く、大きく透明な水滴 5〜10 0.1〜1 〜数
Fog 小さくて多数の水滴の集まりで半透明 >10 >1 >1




 

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1-4. 接触角と表面張力の関係

表面張力(ぬれ張力)は気体・液体・固体の全てにあり、それらが接する面にも界面張力があります。
その張力の作用で微量の液体を固体表面に滴下すると、液体は図2のように球になります。
その時の接触角は張力で決まるため、接触角や表面張力(=ぬれ張力)は、表面の清浄度や接着力の
重要な指標になります。






きれいさと表面張力・接触角は以下の通りです。

清 浄 度 汚い    ⇔  きれい
接 触 角 高  ⇔  低
ぬれ張力 小  ⇔  大



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2. ぬれるガラス・ぬれないガラスの表面の水滴




2-1. 写真判定

写真1は湿式洗浄の後に、UVオゾン法で仕上げ洗浄したガラスです。
写真2は湿式洗浄だけのガラス、写真3は未処理のガラスの写真です。
同じガラスでも表面の清浄度で、こんなにも水の濡れ方が違います。

インクなどは粘性が高いので、水のように簡単には縮まずに、外観上は一様に塗れているように見えます。
しかし濡れない条件の時は、接触界面の一部が浮いて、インクの密着が悪いことは同じです。

お使いになっているインクの表面張力の値を把握していますか?
表面の清浄度や接着力は、液体の接触角か表面張力(ぬれ張力)で簡単に計れます。
以前は「ぬれ試薬」は54 mN/mの値までの物しか入手出来なかったので、評価にはもっぱら接触角が使われ、
その以前は、経験の要るスチームテストなどに頼りました。現在は値が30から73までの「ぬれ試薬」が市販
されているので、洗浄結果もこれを使うと簡単に詳しく調べられます。
因みに25度における純水の表面張力は約72です。
接触角が4度のガラスと、ぬれ指数が72のガラスの表面清浄度はほぼ同じです。
密着の良い印刷のためには、お使いのインクが濡れるように、表面をしっかり洗浄することが大切です。
詳しくはぬれ張力をインクの値に合わせることが一番です。

清浄度を高めると、余分な添加物で高価な塗料の質を落したりせずに、密着の良い印刷が出来ます。

写真1. 湿式洗浄の後にUVオゾン洗浄した
ガラス。全面に水がぬれて、広がっている。
写真2. 湿式洗浄したガラス。表面はきれいに見えるが、水が弾かれ全面に広がらない。 写真3. 未処理のガラス表面。
水滴が広がらず縮まって玉になっている。



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2-2. 再汚染に注意

ガラス表面の有機性汚染膜が単分子層以下ということは、極めて清浄な表面状態です。
実験室やクリーンルームでも、空気中には微量の揮発性有機化合物や硫黄化合物がただよっています。
その中に清浄ガラスを放置すると、それらの蒸気で表面が再汚染されます。

高度洗浄した表面は30分〜1時間で接触角20度程度まで戻ると言われていますので、超高度の清浄ガラスは
長期間保存できないと考えてください。



  

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3.  パーティクルを極限まで落す洗浄プロセス



逆転発想の、UVオゾン洗浄と湿式洗浄の組合わせ

UVオゾン洗浄は有機性汚染膜を単分子層以下まで落す究極の洗浄技術であるため、
これまでは図1のプロセスのように、仕上げ洗浄に使われてきました。
しかしUVオゾン洗浄は、パーティクルには効果がありません。

一方、湿式洗浄は有機性汚染を完全には取れないので、数分子層の油膜が残ります。
その油膜に吸着されたパーティクルは、リンスをしてもなかなか取れません。

図3の、UVオゾン洗浄の後に温水によるリンスを加える洗浄プロセスは生産現場(工場)から生まれました。
UVオゾン洗浄は図のように油膜はほとんど除きます。その後に純水でリンスすると、油膜がなくなって、
粘着から開放されたパーティクルは容易に洗い流され、パーティクル・有機性汚染フリーの最高清浄面
が得られます。


この技法は液晶表示素子の製造現場だけではなく、露光原板やレチクルの製造工程でも使われています。
(原板の洗浄では、被洗浄材の周辺雰囲気の浄化も必要なのですが、ここではその説明は省略しました。)






 

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出典:SEN-LIGHTS/再編集:MARIONTWORK